
ハンドメイド販売において、ご購入の際の注意に「ノークレームノーリターンでお願いします」と記載している作家さんは多いですよね。

「ノークレームノーリターン」だから、返品は断じて受け付けない!

いやいや、実際にはそういう訳にはいかないんだよ…
「ノークレームノーリターン」の意味
そもそもノークレームノーリターンとは、「苦情や返品は受け付けないので、承知の上で購入してね!」というメッセージですよね。
個人が手作業で制作しているハンドメイド作品の場合、機械で作られた製品に比べ、どうしても仕上がりの見た目やクオリティに個体差が出てしまいます。販売者側としては、

手作業だから、既製品のような完璧さやクォリティは求めないでね!
個体差があるから承知の上購入してね!
という意味で使用している言葉だと推測できます。
これは法律上、商品に欠陥があった場合に買主が契約を解除したり、損害賠償を請求できること、「瑕疵担保(かしたんぽ)責任」というものです。ノークレームノーリターンとは、この瑕疵担保責任はなしでお願いね!という意味で使用されるものです。
法律上「ノークレームノーリターン」は可能なの?
基本的に、商品ページやご購入の際の注意などに「ノークレームノーリターンで」と書いてある場合、販売者は苦情返品は受け付けなくて良いことになっています。例えば商品に不良がある場合でも、商品説明文にどこに不良があるのか、どのような状態でお届けするのか明記してあればOKということ。
「届いてみたらイメージが違った」などの場合の返品は受け付けなくて良いということになります。
ただ、販売者が欠陥を知っていたのに告げなかった場合は、「ノークレームノーリターン」は無効になります。
- 商品写真と全く違うものが届いた場合
- ピアスの針が取れていた、ジッパーが動かないなど、不良品だった場合
- 金具や付属品などが足りない場合
- 商品写真や商品説明文と明らかに違う場合
「ノークレームノーリターン」と書いてあっても、明らかに販売者側に落ち度がある場合はクレーム・返品・交換を受け付けなくてはなりません。民法で定められた取り決めです。

「ノークレームノーリターン」は使い方に注意が必要
ハンドメイド販売における「ノークレームノーリターン」は、悪質なクレーマー対策として書いている作家や、何かあった時のために皆書いてるから私も…という方も多いのではないかと思います。
ただその書き方、お客様にとって本当に親切な説明になっていますか?
ただ「ノークレームノーリターン」と書くだけでは、「手作業だから、既製品のような完璧さやクォリティは求めないでね!」「個体差があるから承知の上購入してね!」という作家の意図は全く伝わらず、何の説明にもなっていないことから、お客様との認識の違いを生み、逆にクレームに繋がりかねません。
例えば「ノークレームノーリターンで」と書かれたカバンを購入したらジッパーが動かなかったという場合。お客様に

不良品だけど、「ノークレームノーリターン」って書いてあるしハンドメイドだから返品はできないんだ…
と思わせてしまうかも知れません。
返品は出来ないにしろminneやCreemaなどハンドメイド販売サイトではレビューや評価の機能がありますから、他のお客様に見える場で不良品についてのクレームを書かれてしまう可能性もあるわけです。
お互いに気持ちよく取引するためには、「ノークレームノーリターン」ではなく、商品の仕様や性質についてしっかり説明するべきではないでしょうか。

商品はひとつひとつ手作りで制作しています。既製品のような完璧さはありませんが、手仕事のあたたかさとして受け止めていただければ幸いです。
商品はひとつひとつ手作りで制作していますので、個体差があります。掲載写真と全く同じではありません。
基本的に返品交換は受け付けておりませんので、ご了承の上ご注文ください。
などと記載すれば商品の質についての説明にもなり、印象も悪くありません。
また、手作業であるからこそ不良品や発送ミスも起こりえます。発送ご連絡の際には

商品は細心の注意を払って制作しておりますが、何か気になる点などがございましたら、ご連絡いただければ幸いです。
と記載しておけば、こちらに落ち度があった場合いきなりレビューなどにクレームを投稿されることなく、やり取りメッセージで対応できるはず。
「ノークレームノーリターン」を黄門さまの印籠のように使うのではなく、何かあった時にはしっかり対応しますよ、という姿勢が大切です。
「ノークレームノーリターン」の意味 まとめ

「ノークレームノーリターン」の意味
「苦情や返品は受け付けないので、承知の上で購入してね!」というメッセージ。法律上は「瑕疵担保責任」を負いません!という意味です。

法律上「ノークレームノーリターン」は可能
基本的に「ノークレームノーリターン」と書かれている場合、苦情返品は受け付けなくて良いと民法で定められています。ただし、販売者が欠陥を知っていたのに告げなかった場合や、商品写真や説明文と違うものを送った場合は無効です。

「ノークレームノーリターン」は使い方に注意
「ノークレームノーリターン」という言葉では、手作業だから、既製品のような完璧さやクォリティは求めないでね!個体差があるから承知の上購入してね!という作家側の意図が全く伝わらずお客様にとっても不親切。どのような点を了解の上注文してほしいのか、しっかり説明することが必要です。

素人が販売してるんだから、ちょっとの不良くらい多めに見てよ~

うわ、不誠実~引くわ~。そういう姿勢は、お客様に敏感に感じ取られるよ!(だから売れないんだよ)
